12/6 『カサブタ』桜美林大学(振付・演出:木佐貫邦子)

12/5,6 フェスティバル/トーキョー


O大に通う友人から「すごいいい」と薦められたので見に行く。「オーソドックスなコンテンポラリーダンス」という感じはしたが、「(成長途上にある)学生の作品」ということを考慮すれば、いいものであった。今年見た同系統の作品であるミシェル・ノワレやローザスよりも好感が持てた。


「ちゃんと踊る」というのは振付家のコンセプトがそうだからなのだろうが(筆者は木佐貫の作品を見たことがないが)、発展途上にある学生が踊るにはこういった作品はきっといいのだろう、と、自分はダンス教育をきちんと受けたわけではないのに思った。もっとも、途中、意図がわからないシーンが少しあったのと、ラストが納得いかない(その前の全員での群舞で終わらせた方がよかったのでは!?)というのはあったが。


あとは、女性ダンサーの衣装が場面に合わせていくつか変わったのに対して、男性ダンサーの衣装がずっと同じだったのは寂しかった。全体的に動きはよかったし、女性ダンサーのなかに一人、「ちゃんと」踊れるだけでなくフォーサイスダンサーっぽい動きをしている人がいて、気になった。


上に書いたようにそれなりに質の高い公演だったのは、観客としてうれしかったし、踊っている彼ら/彼女らにとっては(規模の面でも質の面でもちゃんとした)フェスティバルという公的な枠組みのなかで公演ができたのはいい経験になったのだと思う。気になるのは、彼ら/彼女らが今回、フェスティバル作品をいくつ見ることができているのかということと(『花は流れて〜』や『H3』に触発されるところがあるかもしれない)、もうひとつは、彼ら/彼女らが「大学」というところに属している以上、将来的にどのような活躍をするかということである。もちろん優れた振付家/ダンサーを輩出するのは大学の水準の高さを示す指標にはなるだろうが、大学という組織がある程度公的な存在である以上、「優れたアーティストが一人出てくればあとはどうでもいい」とはならないだろう。そういった意味も含めて桜美林の今後が楽しみである。